交流山行に参加して
山登りは途中ブランクはあったものの40年以上になりますが、今回参加したポレポレ山楽会のように、視障者と共に登山する会があることは知りませんでした。個人的にサポートする方は知っていましたが。交流登山となった大阪のH・Cかざぐるまのメンバーと合流し、視障者の2倍程度のサポート隊の大勢の協力者にびっくりしました。しっかりした組織と万全の準備がされ、危険な登山も楽しい登山になるのですね。
剣山の登山口、見ノ越(ミノコシ)は標高1,420mあり、昨夜の星空で安心していましたが、すっきりと快晴の登山日和となりました。
準備体操をし、注意事項の説明と班ごとの行動を指示されいざ出発。私は初体験だったので、かなり登山経験のある林氏の担当にしていただいた。ザックに結んだロープを引いてもらい登ることに。林氏は2歳の坊やを背負子に背負い、坊やの体重を合わせると20キロ程の重さになるという。それでもストックを上手に使い、左手にロープを持って軽やかに歩く。晴眼者とあまり変わりなく思えました。
ブナなどの大木のある原生林の山道は涼しい風に気分良く、ギンパイソウも沢山咲いていました。小鳥のさえずりは賑やかで、鳴き声を聞き分け小鳥の名を教えてくれます。時々、人工のさえずりが入っても、ニセモノと本物をしっかり聞き分けて、楽しく会話がはずみました。
リフト場を過ぎるとお花畑コースとなり、タカネオトギリソウ、シコクフロウ、クガイソウが群生しています。説明だけで申し訳ないが、次郎笈(ジロウギュウ)はピラミダルに美しく、丸石の緑の笹原の向こうには、三嶺への縦走路が雲ひとつなくはっきり見えています。
緩やかに登って雲海荘の前に出ると木道となり、山頂はすぐでした。これ程の眺望に恵まれることは珍しい。西は寒峰や烏帽子山、その奥には赤石山系の山々。東は折宇谷(オリュウダニ)山、四国一のブナの巨木のある権田山から平家平まで、もっと奥の山々まで見渡され360度の眺めでした。下りは心地良い風に背を押され無事に下山。昼食のビールとカレーライスは美味でした。
閉会に当たり、各リーダーさんの挨拶を聞いて全員が無事に登り終えたことがなによりで、これで充分なのだ、視障者とサポート隊が一体となった成果であると思いました。初参加でいつもの山行には味わえない感動がありました。障害のある方は私達健常者よりも、より感性が豊かなのではと常々思っていたことが、本当にその通りだったこと、山は皆んなのもの、障害のある方も、歩きたい、登りたいと思う方は一緒に登りましょう。
これからも大自然の懐に入って、生かされている実感を味わって頂きたいと思っています。
M・種田 60代女性 (晴眼)
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