山の仲間に出会えて
私は、ある日、若い北代さんというお嬢さんに、「ポレポレ山楽会という山の会があり、サポーターが足りないけど、どうですか?」この言葉と、「320mと低いから簡単ですよ」このふたつの言葉で大丈夫だろうと軽く考えていて、大変な間違いだった。ほとんど山と名の付く山には縁がなかった私。超ベテランの林さんのサポーター。たくさんの方々が集まっていた。私の背のリュックにロープがつけられた。リュックすら重いなと思ったのに、この瞬間不安がいっぱい。今思い出しても、ドキドキ。
「ロープの動きでだいたいわかるから、後をふりかえったり気にしなくて全然いいです。ただ、下が崖になっているとか、上に木が当たりそうになっているとかだけ知らせてください。」と言われた。
でもこんな時、自分がまず登れるのかが、一番心配。迷惑かけたらどうしようと頭の中はそれで一杯。そうだ、「低いから簡単ですよ」の天の声が弱々しく聞こえた。すぐから肩がまず重い。幅広のリュックのひもでないので、くいこむ。スニーカーだったからすべる。
「右に大きな木があります」「右手つけて、大きな木につかまって」「坂があって、下が崖です」。
のどが、とても渇く。ここで周りのの様子も言ってあげないとわからないだろうなと「真青な空においしそうな白い雲が浮かんでます!」「足元には紫のかわいい花が咲いています!」
でも、青い空がどれくらいわかるのかな。うるさくないかな。何を言って欲しいのかな。もうすでに汗をかなりかいていた。スポーツジムで流す汗とは違う、ジワジワと冷たい汗。きっとこの時は、サポートをされる方も、もっと冷たい汗をかいていたのでは。不安といらだちの汗を。もっと自己紹介したらよかったかとか、やっぱりサポートされる方のことを手前にもっと知っておくと気分が軽くなり、心が通うのになぁと思いつつ歩く、登る。心で色を、景色を感じるのだろうか。ごめんなさいね☆慣れなくて☆余裕がなくて☆と、思いつつ、自分も疲れて「ハァーハァー」と息づかい。「大丈夫ですか」2~3回逆に気遣っていただく。ありがとうございます!!
でも、頂上で食事する頃は、さわやかな風を感じ、皆んなが実に生き生きとして、まるでひとつの家族のようだと思って、とても嬉しかった。サポートされる人も、サポーターも何でこんなに明るいのかな。相手をお互い気遣いながら、人間本来の姿、やさしさがそこにたくさんただよっていた。自分自身も楽しむ世界があった。汗にもいろいろな汗があるな、風もいろんなところで吹かれたけど、さわやかな、本当に体中をかけ抜けてくれ、疲れを一緒に持って行ってくれる風だ。
これから先、みんなと、いろんな山に行き、たくさん語り、もっとたくの人にも知ってもらい、会に入ってもらえたらいいな☆その為にも、サポートマニュアルがあれば、安心してサポートできたり、されたり、まずサポーターに何をして欲しいか、サポーターもどうかかわっていかないといけないのか、ケガも無く、ロープで結ばれた2人組が、心やさしく、ゆとりある一日を過ごせるように、気持ちよい、暖かい時間を共有できるように努力したいなぁ。一緒に山の上でパエリア作ったり、ピザを焼いたり、大きな声で歌も歌いたいし、ストレッチをして、体をよくのばして登り始めたいし、いろんな山に行ってみたいし、何でもできる多くの人と知り合えたことは、大きな私の、財産ができたみたいで、今は「ポレポレ山楽会」ありがとう!!
先で山に一つ登る度、木を一本植えてもいいなぁと一人でつぶやいた。4歳から6歳のお子ちゃまが、家族と一緒に、庭で遊んでいるのの延長のように、自然と溶け込んで歩いている姿が印象深く、これが原点みたいに感動しています。
T・古巻 60代女性 (晴眼)
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